傷の治りを促進するローヤルゼリー

ローヤルゼリーに含まれるペプチドが傷の治りを促進する

ローヤルゼリーには抗炎症作用や抗菌作用があり、傷の治りを促す効果が期待されています。古くから傷口にローヤルゼリーを塗ると良くなると言われていて、傷薬代わりに使われてきた歴史があります。

そのメカニズムについては長らく謎でしたが、最近の研究によって、ローヤルゼリーに含まれるペプチド(※1)が関与していることが明らかになりました。
このペプチドには「角化細胞(ケラチノサイト)」の働きを助けている酵素を活性化する作用があり、創傷が閉じるのを促進することが分かっています。
またこの働きは肌の傷だけではなく、粘膜の傷害に対しても効果が期待されています。「潰瘍性大腸炎」などの炎症性腸疾患に対して有効だと考えられています。

(※1)数個のアミノ酸が鎖状に結合した物質。

ローヤルゼリーが傷の治りを促進するメカニズム

傷を塞ぐ角化細胞の働き

皮膚は大きく分けて三つの層で構成されています。このうち最も外側に位置するのが表皮です。さらに表皮は四つの層に分かれていて、一番内側の基底層では角化細胞が作られています。
この角化細胞は表皮が損傷を受けたときに傷を塞ぐ方向に移動し、正常な状態に回復させる働きがあります。私たちが日常生活の中で擦り傷や切り傷=創傷を負っても、自然に傷が塞がるのは角化細胞のおかげです。

角化細胞の働きを助ける酵素を活性化するローヤルゼリー

この角化細胞の働きを助けているのは「MMP-9」という酵素です。MMP-9はコラーゲンなどのたんぱく質を分解することで、角化細胞の移動を促しています。
MMP-9を作り出しているのは角化細胞です。ヒトの角化細胞にローヤルゼリーを添加すると、添加量が多いほどMMP-9が活性化されることが確認されています。(参考元1)

ローヤルゼリーに含まれるペプチドが傷の治癒を促す

そこで人工的に創傷を与えた培養角化細胞にローヤルゼリーを添加して変化を観察しました。その結果、ローヤルゼリーを添加した細胞は、添加しなかった細胞と比べて創傷が閉じるのが促進されることが確認されました。
その後の研究で、ローヤルゼリーに含まれる「ディフェンシン1」というペプチドが、角化細胞に働きかけてMMP-9の産生を促していることが分かりました。
また人工的に創傷を与えた培養角化細胞においても、このペプチドが存在することで創傷が早く閉じることが分かりました。(参考元1)

粘膜の傷害に対しても効果が期待されている

ローヤルゼリーの創傷治癒促進作用は、表皮の傷だけでなく粘膜の傷害に対しても効果が期待されています。ぶ厚い角質で守られている表皮に比べて粘膜は柔らかくデリケートです。
特に胃や腸などの消化管が傷つくと、炎症が発生するほかウイルスや細菌が侵入して重篤な感染症に繋がる恐れがあります。

そこで消化管に炎症やただれが起きた状態で、ローヤルゼリーを投与して変化を観察しました。大腸の粘膜に潰瘍やただれが発生する潰瘍性大腸炎は、厚生労働省が特定疾患に指定している難病です。
発症すると治りにくいうえに、良くなったと思ってもまた再発する厄介な病気です。潰瘍性大腸炎を発症させたマウスにローヤルゼリーを投与したところ、粘膜の治癒が促進されて症状が回復することが明らかになりました。(参考元2)

はちみつと一緒にローヤルゼリーを肌に塗るとより効果的

ローヤルゼリーは食品として摂るだけでなく、肌に塗っても効果が期待できます。とはいえローヤルゼリーだけを肌に直接塗ろうとしても、上手くなじませることができません。
そこでお勧めなのが生ローヤルゼリー(※1)とはちみつを混ぜて肌に塗る方法です。はちみつは古くから傷口に塗る軟膏として使われてきました。
トロッとしたはちみつを加えることで肌になじみやすくなり、傷口を綺麗にコーティングすることができます。
またはちみつには抗菌作用と保湿力があり、雑菌の繁殖や傷口の乾燥を防ぐ効果があると言われています。ローヤルゼリーと組み合わせることで相乗効果が期待できます。

(※1)加工を最小限に抑えて、鮮度を保ったまま5℃以下で冷蔵または冷凍したローヤルゼリー。

アレルギーのリスクがある

ローヤルゼリーにはアレルギーのリスクがあります。ローヤルゼリーに含まれている一部のたんぱく質がアレルギーを引き起こすことが分かっています。
ローヤルゼリーを肌に塗ってアレルギーを発症したという報告はありませんが、敏感肌の方は念のため注意が必要です。
最初に二の腕など目立たない箇所に少量塗って様子を見ましょう。異常がないことを確認してから本格的に使用すると良いでしょう。

関連記事:ローヤルゼリーが引き起こすアレルギー

参考元1:山田養蜂場 みつばち研究助成基金 | 研究成果のご紹介 ローヤルゼリーは創傷の治癒を促進する ~関与成分となるペプチドを同定~
参考元2:実験的潰瘍性大腸炎に対するローヤルゼリーの治療効果に関する研究 | ローヤルゼリーの委託研究 | (社)全国ローヤルゼリー公正取引協議会

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