ローヤルゼリーの産地

国内で消費されるローヤルゼリーの9割以上を中国産が占めている

健康食品として高い知名度を誇るローヤルゼリーは、花粉を原料に働き蜂の体内で作られます。主な産地は日本、中国、台湾、タイです。
日本では近代養蜂発祥の地である岐阜県をはじめ、北は北海道から南は九州まで全国で養蜂が行われています。
ですがここ50年余りで養蜂環境は悪化の一途を辿っています。環境破壊や農薬の影響によって、ミツバチが花粉を集めるために必要な蜜源の減少が止まりません。
国内での養蜂が困難になったことで、日本のメーカーは中国など海外に蜜源を求めました。そのため国産のローヤルゼリーは全体の1%以下で、99%を輸入に頼っているのが現状です。
2017年のローヤルゼリー輸入量を見ると、9割強を中国産が占めています。以下、台湾、タイと続いています。(参考元1)

ローヤルゼリーの産地

日本

日本産の現状

働き蜂がローヤルゼリーを生成するためには豊富な花粉が必要です。ところが日本では都市化や公害によって生態系が破壊され、レンゲ畑やアカシア、トチの木などの蜜源が減少しています。
また田園では農薬散布によってミツバチの生息自体が困難な環境へと変わっています。国内の養蜂環境は悪化の一途を辿っているのが現状です。
さらに四季がはっきりした日本で養蜂を行うには、蜜源を求めて北から南へと巣箱とともに移動する生活をしいられます。このようなこともあり近年では養蜂家の減少と高齢化が深刻化しています。
環境の整った産地は非常に少なく、国内のローヤルゼリー生産量は全体の1%以下に止まっています。

主な産地

国内の産地としては、近代養蜂発祥の地である岐阜県が知られています。他にも北は北海道から南は九州まで、小規模な養蜂家がローヤルゼリーの生産に取り組んでいます。
またある大手養蜂メーカーは、岡山県苫田郡鏡野町に国内の拠点を設けています。中国山脈の山裾に位置し、北には標高1209mの泉山がそびえ、そこから流れる香々美(かがみ)川が大地を潤す、自然豊かな土地です。
鏡野には何箇所も養蜂場が設置され、直接契約を結んだ養蜂家によってローヤルゼリーの採取が行われています。養蜂場の近くには菜の花やレンゲが咲き、栗やトチの木が植えられています。
また周辺の山にはソヨゴ、ツゲなどの広葉樹(※1)が豊富に残っています。1年を通して蜜源に恵まれているため、移動する必要がないというメリットがあります。

(※1)杉や松などの針葉樹は花粉を飛散させるものの蜜を出さない。そのため巣箱を設置してもミツバチは食料を集めることができない。養蜂には近くに広葉樹林がある環境が望ましい。

中国

国内の養蜂環境が悪化するなか、ローヤルゼリーを生産しているメーカーは蜜源を求めて中国へと活路を見いだしました。

中国産の現状

中国と聞くと大気汚染をイメージする方も多いでしょう。しかし、大気汚染は都市部に限った話です。農村部では今でも良質の蜜源が多く残されています。
それでも「中国産は粗悪」というイメージを持たれがちです。確かにかつて中国産ローヤルゼリー原乳(※2)のほとんどは品質が悪く効果が期待できない代物でした。
ローヤルゼリーの生産は時間との勝負です。採取してから素早く工場で処理して、5℃以下で冷蔵または冷凍保存する必要があります。
ところが中国では採取されたローヤルゼリーを土の中に数日間放置してから、常温で遠く離れた工場へ輸送するという杜撰な品質管理を行っていたのです。
そこで日本メーカーは現地の養蜂家に経済的な支援を行い、最も高品質なローヤルゼリーが生産できる48時間採取と厳しい温度管理を実現しました。
中国産の品質向上には長い時間がかかりましたが、日本メーカーの努力によって粗悪な中国産は過去のものとなったのです。

(※2)採取してから不純物を取り除く以外の加工を行っていない生ローヤルゼリー。原乳からさまざまなローヤルゼリー製品が生産される。

関連記事:ローヤルゼリーの採取方法

主な産地

青海省、雲南省、浙江省が主な産地です。ある日本メーカーは青海省西寧市郊外に位置する標高3500mの高地で最高の蜜源を発見しました。
そこには広大な菜の花畑が広がっていたのです。しかも高地のため虫が寄り付かず、農薬なども使われていないというミツバチの繁殖に最適な環境が整っていました。
またあるメーカーでは浙江省に直営の養蜂場を設けています。近くには農薬散布を行う農場や化学工場がなく、蜜源となる植物が1年を通して咲く、ミツバチに優しい土地であるのが特徴です。

台湾

台湾産の現状

かつて日本では台湾産のローヤルゼリーが多くを占めていた時期がありました。しかし、1972年の日中国交正常化をきっかけに、安価な中国産が日本に上陸したことで台湾産の輸入量は減少していきます。
そもそも広大な国土を有する中国とは異なり、台湾は国土が狭く蜜源に乏しい国です。日本と同様に都市化による環境破壊が進んでいる点もマイナスです。
一方で日本と台湾は距離的に近いというメリットがあり、今日でも中国に次いで輸入が多い国です。それでも中国産の1/20以下の輸入量に止まっているのが現状です。

主な産地

1年を通して温暖な気候の台湾では全土で養蜂が行われています。主な産地としてはマンゴーの産地としても知られている台南市近郊の王井区などがあります。

タイ

タイ産の現状

1年を通して温暖な気候のタイはミツバチの繁殖に適した環境であり、農村部では豊富な蜜源が残されています。
このため一部の日本メーカーではタイに養蜂場を設置して、ローヤルゼリーの生産を行っています。なお輸入量は中国の1/100程度と極めて少量に止まっています。

主な産地

チェンマイを中心としたタイ北部は日本の春から秋の気候が続き、蜜源となる花が1年を通して咲く、蜜源に恵まれた土地です。
気候が安定していることから、蜜源を求めて移動する必要がない点も日本メーカーを惹きつけています。

参考元1:【特集】「ローヤルゼリー」 流通量、7年ぶりにプラスに -ドリンク、化粧品などで引き合い増- アクセス日 2018/12/22

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