歯周病予防にローヤルゼリー
歯周病菌によって破壊された組織の修復を促し炎症を鎮める
ローヤルゼリーには抗菌作用や抗炎症作用があり、歯周病を予防する効果が期待されています。
歯周病は日本で年間300万人以上が発症する現代病です。原因は歯周病菌の増殖です。歯周病菌は歯垢(プラーク)に含まれる糖やたんぱく質をエサに増殖し、歯肉などの歯周組織を破壊して炎症を引き起こします。この状態を放置すると最終的には歯が抜け落ちてしまいます。
近年の研究で、ローヤルゼリーには歯を支える歯周組織の修復を促す可能性があることが分かっています。
さらに抗菌作用によって歯周病菌の繁殖を防ぎ、抗炎症作用によって歯肉や歯周組織の炎症を鎮める効果が期待できます。
歯周病を放置すると糖尿病や肺炎のリスクを高めてしまいます。ローヤルゼリーを活用して歯周病予防に繋げる方法が検討されています。
ローヤルゼリーによる歯周病予防のメカニズム
歯周組織の石灰化を促すローヤルゼリー
細菌によって破壊された歯周組織は石灰化(※1)によって自然に修復されます。そこでローヤルゼリーの石灰化を促す働きについて検討しました。
歯の根元と歯を支えている歯槽骨は歯根膜が繋いでいます。この歯根膜は石灰化に必要なセメント質のもととなる細胞を有していて、歯周組織の修復や維持に重要な役目を果たしています。
そこでマウスの歯根膜から採取した細胞の培地(※2)に、ローヤルゼリーを添加して12日間培養し変化を観察しました。
その結果、ローヤルゼリーを添加した培地は添加しなかった培地と比べて、細胞の石灰化が促進されることが確認されました。(参考元1)
ローヤルゼリーによって、歯の修復が促される可能性があることが示されました。またローヤルゼリーによる石灰化の促進は、骨の形成に関係する遺伝子の発現が高まることで起こることも分かりました。
(※1)細胞にカルシウムが沈着する現象。歯は細菌が生成する酸によって溶かされるが、カルシウムやミネラルによって石灰化されて修復される。
(※2)生物を培養するために用意した生育環境。
歯周病菌が引き起こす炎症を鎮める
ローヤルゼリーには抗炎症作用があり、歯周病菌が引き起こした歯肉炎や歯周炎を鎮める効果が期待されています。
炎症は炎症性のサイトカイン(※3)が多く分泌されることで引き起こされます。そこで歯周病菌のエサとなる糖を加えた歯根膜細胞にローヤルゼリーを添加して培養しました。
その結果、ローヤルゼリーの濃度が高いほどに、炎症性サイトカインの分泌が抑えられることが分かりました。(参考元1)ローヤルゼリーに歯周組織の炎症を抑える働きが期待できることが示されました。
(※3)細胞から分泌されるたんぱく質。細胞間の情報伝達のほか、免疫、炎症、増殖などさまざまな現象に関与している。
ローヤルゼリーに含まれる歯周病予防に有効と考えられる成分
ローヤルゼリーには「R物質」と呼ばれる特有の成分が豊富に含まれています。デセン酸やロイヤリシンには抗菌作用や抗炎症作用が期待されています。
その中でも豊富に含まれているのがデセン酸です。ローヤルゼリーにしか含まれない成分で、多くの効果効能をもたらしています。
デセン酸には優れた抗菌作用があり、大腸菌の増殖を防ぐ効果が認められています。歯周病菌に対しても同じ効果が期待されています。
関連記事:ローヤルゼリー特有の成分デセン酸の特徴
参考元1:山田養蜂場 みつばち研究助成基金 | 研究成果のご紹介 ローヤルゼリーには歯周病を予防する効果があるか?